ピンポイント存在。
多趣味な奴だと、己を自嘲気味に感じたりしている。
基本「物集め」的-コレクター気質が災いして、少ない給料なのに散財するという暴挙に出る悲しき性癖を自嘲してしまう。
でも止められらいし、止めてしまった時点で生き甲斐をひとつ失うことになるから、それは考えたくないのが本音。

嘲笑うは己の気質。
でも止められない止まらない。

そんな趣味の中のひとつに「眼鏡集め」がある。

昔から眼鏡が好きで、良かった視力が徐々に落ち始めた十代後半、下がる視力に狂喜するという稀有な神経回路を持っていた。
しかし当時は眼鏡ひとつ買うのにも何万という金が飛んだ時代。
とてもおいそれと買える代物ではなかったのだが、ここ最近、「低価格眼鏡」が業界で広まっているようで、眼鏡スキーな男として飛びつかないはずがなかった。

眼鏡は既に顔の一部であり、気分で変えるオシャレアイテムとしても重要な役割を担う。
半年に一度は購入するようになって暫く。
気がつけば、10本以上のフレームが部屋の中に居座っている。
そして眼鏡は今後も増殖予定のMULTIPLIES。
その行き先は∞。

嗚呼、嬉し悲しやこの気質。
嘲笑えるなりコレクター。


-ホテルに勤めていた時代、人事総務な自分は業務の一環として、中高生を対象とした「職場体験学習」の総合的な担当を行っていた。
体験学習自体は部署毎の専門スタッフが行うのだけれど、学校との打ち合わせ、体験学習時のホテルの総合的な概要等の説明や諸手配はこちらで引き受けるのだ。
若い世代が職場を肌で感じることは非常に有意義なことだと自覚していたし、社会還元の一環としても素晴らしいので、余程の繁忙期でもない限りなるべく多くの学校を受け入れるように努めていた。

若い笑顔が弾ける職場に暗い未来は訪れない。
寧ろ、エネルギーを貰っていたのはこちらかもしれなかった。



先日-。
一月程前から密かに新たにおニューな眼鏡を購入しようと考えていた自分は、行きつけの低価格眼鏡販売店へ向かうのに車を走らせていた。
三つ隣市にあるその販売店に行き着くまでに、何故か国道が3箇所も工事で一歩通行になっていて、その度に渋滞に巻き込まれるものだからかなりイライラが募ったが、いざ店に着いて眼鏡の山を見てしまうと、そんな気分もすぐに消えてしまう能天気さは美しい。

近場にも低価格眼鏡販売店はあるのだけれど何故わざわざここに来るかといえば、面白いフレームが結構揃っているからだ。
よく言わば個性的な、言い換えれば「おバカ」なフレームが散見し、それが楽しい。
更にクリスマスセール期間中らしく、一部のフレームが半額対象になっているのでこれはもう乱舞ものである。
今まで見たことのない新顔の店員の女性と軽く会話を交わしつつ、3本のフレームを購入。会社用、お出かけ用、イベント用、半額が功を奏して3本で1万ちょっとはありがたや。
30分もすればレンズ加工も終了して、持ち帰れる素晴らしさよ。

ホクホクな心持ちで笑顔の中帰ろうかなと思った矢先、先程軽く会話した店員さんに話しかけられた。

「萬さんて、もしかすると隣市にお勤めじゃありませんか?」
「あ、はい」
「ですよねー。私、体験学習で萬さんにお世話になったんですよ」
「へ?」
「スーツ姿じゃなかったから人違いかなと思ったんですけど。私服だと随分雰囲気変わりますねー。人違いじゃなくて良かったー」

ちとまて。自分がホテルから離れて既に5年は経つ。
20代前半に店員さんは見えるから、少なくとも6、7年前の記憶だろそれ?
僅か二日間の体験学習なのに、何故そんなピンポイントで覚えてる?
制服時ならともかくとして、スキンヘッドも隠している私服姿で何故ばれるんだ?


嗚呼、また不用意に存在が目立ってる。
嗚呼、また自分の感知しないとこで存在が浮いている。
嘲笑うは己の存在感…。


青く澄み渡る空を見上げならが、車のエンジンをかける。
帰りがけの渋滞も予測出来ずに、車は走り出す。



その男の存在はピンポイントなり。









コメント

はなくろ
2010年12月19日15:14

あたま以外にも、きっと挙動が目立つんだよw
印象に残りやすいんだなっ
悪いことはできませんな〜

とかいいつつ萬。ちんとは面識無いんだけどね(笑)

萬。
2010年12月19日16:45

☆はなくろ様

調子いまいちなのにコメサンキュー。
進言どおり写真入れてみた。
初の試みなんで違和感あるがまあいいかw

挙動が目立つってやだなあ…。

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