秋風と青空が染める道。ふと出た男の咆哮が刻を止める。
秋の風清々しく、毎朝出勤時には「週末になったらぜってーアイボリー(チャリ名)でこの風の中疾走してやる」と思う。それはもう衝動のように身体を駆け巡り、いてもたってもいられなくなるのだが、何せ退勤時外に出れば既に暗く、チャリで疾走というにはあまりに危険が多すぎる故、衝動を無理に押さえつけて何食わぬ顔して生きていく。
社会人という名のレッテルの下で、心に秘めた衝動との闘い。
秋の風清々しく、毎週末朝九時を過ぎた頃には「今日はあそこ入ってここ回ってこういうルートか」と、アイボリーに跨り脳内検索ナビタイム。意味もなくサイクリングと洒落こみたいところなのだが、平日出来なかった買物を午前中に終了させるのを基本信条としている故、近場で出来る買物は、サイクリングを兼ねてというのが効率的。
ペダルにかけた重量が、秋風への疾走の合図になる。
秋の風清々しく、一身に受けた心地よい空気に「気持ちよすぎてたまんない」的恍惚の表情になってるのではないかと毎回無駄な心配。今回は家を中心点に置き、南の家電量販店と北の食品モール街で買物という段取りになる。いやいや毎週こんな感じで、時折間に図書館が入るくらいなのだが。
チェーンが回る軽い響きが、音楽のように心地いい。
ipodから耳に流れ込む音楽が、疾走と高揚に適度なワンポイントをくれる。
アイボリーには買物用籠がついていない。それ故買物時には不便なのだが、ハンドルの中心が軽く出張っていて、そこにエコバックを引っ掛けることが出来るので大変重宝している。ただ、買物し過ぎてエコバックが重くなると、バランスを取り辛くなるのが難点である。特に家電量販店へいく場合は、家電屋好きがたたってついつい余計な消耗品を購入してしまうきらいがあるので、バランスと重量に気をつけなければならないのだ。
そして今回も例に漏れず余計に買い込んで後悔する。
バランスが取り辛い苦味。
重量によって負担がかかるペダルの軋み。
思うように疾走出来ない悔しさが、じわりと額から滲み出る汗を伴い清々しさを封殺する。
家電量販店からモールまでの数キロの距離が、既に苦行の様相を呈している。
脇を通り過ぎていく車の排気が、不快感を煽り始める。
ipodから耳に流れ込む音楽が、重量と不快感に適度なワンポイントをくれる。
それでも尚、漕ぐのをやめない両脚がさらに回転数を上げていく。
力強い回転数に比例するかのように流れ出る汗を額に-。
秋風と青空が染める道。ふと出た男の咆哮が刻を止める。
「うおおおおおおお! S@Xしてー!!!!!」
それは重量のリビドー。
それは大いなる心の叫び。
それは男として生まれたが故の絶対的衝動。
普段からこんなことばかり考えてることは否定しない。
いや、社会人としての苦行の中、心を慰めるようにこんなことばかりを積極的に考えてる。
-だが。
ここは青空が染める道。公道という名の「常識」がはびこる世界。
反対車線を通り過ぎるチャリに跨ったおばさんの目が、大きく見開いたまま男を凝視する。
その視線を逸らす事も出来ず、固まった時間の中、互いを見据えたままチャリはすれ違っていく。
後に残るのは、チェーンの軽い響きだけ…。
常識がはびこる世界の中、非常識を叫んだ男の背中が、まっすぐに伸びる道の上をただひたすらに突き進んで、秋の風清々しい中に消えていった。
そして、空は今日も広かった。
秋の風清々しく、毎朝出勤時には「週末になったらぜってーアイボリー(チャリ名)でこの風の中疾走してやる」と思う。それはもう衝動のように身体を駆け巡り、いてもたってもいられなくなるのだが、何せ退勤時外に出れば既に暗く、チャリで疾走というにはあまりに危険が多すぎる故、衝動を無理に押さえつけて何食わぬ顔して生きていく。
社会人という名のレッテルの下で、心に秘めた衝動との闘い。
秋の風清々しく、毎週末朝九時を過ぎた頃には「今日はあそこ入ってここ回ってこういうルートか」と、アイボリーに跨り脳内検索ナビタイム。意味もなくサイクリングと洒落こみたいところなのだが、平日出来なかった買物を午前中に終了させるのを基本信条としている故、近場で出来る買物は、サイクリングを兼ねてというのが効率的。
ペダルにかけた重量が、秋風への疾走の合図になる。
秋の風清々しく、一身に受けた心地よい空気に「気持ちよすぎてたまんない」的恍惚の表情になってるのではないかと毎回無駄な心配。今回は家を中心点に置き、南の家電量販店と北の食品モール街で買物という段取りになる。いやいや毎週こんな感じで、時折間に図書館が入るくらいなのだが。
チェーンが回る軽い響きが、音楽のように心地いい。
ipodから耳に流れ込む音楽が、疾走と高揚に適度なワンポイントをくれる。
アイボリーには買物用籠がついていない。それ故買物時には不便なのだが、ハンドルの中心が軽く出張っていて、そこにエコバックを引っ掛けることが出来るので大変重宝している。ただ、買物し過ぎてエコバックが重くなると、バランスを取り辛くなるのが難点である。特に家電量販店へいく場合は、家電屋好きがたたってついつい余計な消耗品を購入してしまうきらいがあるので、バランスと重量に気をつけなければならないのだ。
そして今回も例に漏れず余計に買い込んで後悔する。
バランスが取り辛い苦味。
重量によって負担がかかるペダルの軋み。
思うように疾走出来ない悔しさが、じわりと額から滲み出る汗を伴い清々しさを封殺する。
家電量販店からモールまでの数キロの距離が、既に苦行の様相を呈している。
脇を通り過ぎていく車の排気が、不快感を煽り始める。
ipodから耳に流れ込む音楽が、重量と不快感に適度なワンポイントをくれる。
それでも尚、漕ぐのをやめない両脚がさらに回転数を上げていく。
力強い回転数に比例するかのように流れ出る汗を額に-。
秋風と青空が染める道。ふと出た男の咆哮が刻を止める。
「うおおおおおおお! S@Xしてー!!!!!」
それは重量のリビドー。
それは大いなる心の叫び。
それは男として生まれたが故の絶対的衝動。
普段からこんなことばかり考えてることは否定しない。
いや、社会人としての苦行の中、心を慰めるようにこんなことばかりを積極的に考えてる。
-だが。
ここは青空が染める道。公道という名の「常識」がはびこる世界。
反対車線を通り過ぎるチャリに跨ったおばさんの目が、大きく見開いたまま男を凝視する。
その視線を逸らす事も出来ず、固まった時間の中、互いを見据えたままチャリはすれ違っていく。
後に残るのは、チェーンの軽い響きだけ…。
常識がはびこる世界の中、非常識を叫んだ男の背中が、まっすぐに伸びる道の上をただひたすらに突き進んで、秋の風清々しい中に消えていった。
そして、空は今日も広かった。
コメント
盛大にすっ転んだオチかと思ったが…(^^;;;
はっはっは。
はっはっは。
はっはっはっはっはっは(^^;
私の場合、書いてある内容より、トップのネコの写真が話題を呼ぶようで(笑)
これからも拝読します。よろしく。
何が気に入ってリンクしてくれたか不思議でしたが嬉しいかぎりです。
こちらこそ宜しくです。
いやあのねこさんの可愛さの殺傷能力はハンパないっすよ。
悶えます。