プリズナー ~駐車場の片隅で・1~
2008年12月21日 エッセイ コメント (6)その甘美なる深紅の液体。
何年か前から、俺はいきなりワインが好きになった。何がきっかけなのかも忘れたが、あれだけ毛嫌いしていたワインを、それこそ週末のマイワインデーにはボトルをけろりと空けてしまうほど好きになって飲んでいた。
セレブ気取りで飲むような、お高い液体ではないのだけれど。
そこに見えるは多少歪な優越感か。
そこに見えるは多少歪な劣等感か。
その甘美なる気高き液体。
毎年年末近くになると、巷では「ボージョレ・ヌーヴォー」なる若き液体がもてはやされるように-いや、酒類業界とマスコミの結託によって作られる、仕組まれたお祭りなのかも-なる。
基本、ヌーヴォーなんてワイン大国においてはその年の成果を見るためだけの、ビタ一文程度の価値しかないものなのだが、何故かこの国では至上のように扱われるきらいがある。嗚呼、不思議国家日本。
「解禁」の名の下に、様々な人たちがTVの情報に振り回されながらちょっとした小躍りをするのだ。
そこに見えるは多少歪な優越感か。
そこに見えるは多少歪な劣等感か。
その甘美なる奥深き液体。
巷でそれほど騒がれていると、所詮小物な俺はやっぱり毎年の出来不出来が気になってくるのは必然。
けれど彼の国ではビタ一文の価値しかない若き液体だって、関税やら何やらで、手元に来る頃には数千円にもなってしまう。この国の歪んだシステムはこんなとこにまで浸透致す。自由な資本主義とは言うなれど、どこか鎖国的島国根性も匂わせる。
そこに見えるは多少歪な優越感か。
そこに見えるは多少歪な劣等感か。
その甘美なる芳醇の液体。
店舗のワインセラーの中央で、俺は一人、若き液体を前にして、数千円出すべきか腕を組み組み思案する。いつも飲んでる芳醇液体なら、何本か買える値段であるからだ。普段は安い物しか飲んでない証明でもある。
思案と欲望と金額と-。
天秤にかける分銅の重さは拮抗しつつ、結局は「飲まずに後悔するならば、飲んで後悔するのだ」という結論の分銅に目方は奪われ、レジに差し出すSOUL DRINK。
そこに見えるは多少歪な優越感か。
そこに見えるは多少歪な劣等感か。
その甘美なる悠久の液体。
嬉々なるやハンドル握る掌。
嬉々なるやアクセル踏む足。
嬉々なるやサイドを引く腕。
月極駐車場に深緑の車を停め、逸る心を抑えつつ若き液体の入ったポリ袋を握り締めドアを開け降り立った瞬間-。
不用意に振った腕から、ポリ袋がすっぽ抜けるように宙を舞った。
鈍い音は着面の悲鳴。
深紅に塗れながら飛び散った破片は虚しきプリズナー。
その甘美なる液体はアスファルトを下り、普段認識することさえない側溝に消えていく。
まさかどう考えたって「飲む前に後悔する」って選択肢を持っていなかった俺は、ただ愕然と膝を落とし、深き慟哭の中、深紅のプリズムを見つめるのだった。
輝く軌跡はプリズナー。
輝く軌跡はプリズナー。
その甘美なる生命の液体。
何年か前から、俺はいきなりワインが好きになった。何がきっかけなのかも忘れたが、あれだけ毛嫌いしていたワインを、それこそ週末のマイワインデーにはボトルをけろりと空けてしまうほど好きになって飲んでいた。
セレブ気取りで飲むような、お高い液体ではないのだけれど。
そこに見えるは多少歪な優越感か。
そこに見えるは多少歪な劣等感か。
その甘美なる気高き液体。
毎年年末近くになると、巷では「ボージョレ・ヌーヴォー」なる若き液体がもてはやされるように-いや、酒類業界とマスコミの結託によって作られる、仕組まれたお祭りなのかも-なる。
基本、ヌーヴォーなんてワイン大国においてはその年の成果を見るためだけの、ビタ一文程度の価値しかないものなのだが、何故かこの国では至上のように扱われるきらいがある。嗚呼、不思議国家日本。
「解禁」の名の下に、様々な人たちがTVの情報に振り回されながらちょっとした小躍りをするのだ。
そこに見えるは多少歪な優越感か。
そこに見えるは多少歪な劣等感か。
その甘美なる奥深き液体。
巷でそれほど騒がれていると、所詮小物な俺はやっぱり毎年の出来不出来が気になってくるのは必然。
けれど彼の国ではビタ一文の価値しかない若き液体だって、関税やら何やらで、手元に来る頃には数千円にもなってしまう。この国の歪んだシステムはこんなとこにまで浸透致す。自由な資本主義とは言うなれど、どこか鎖国的島国根性も匂わせる。
そこに見えるは多少歪な優越感か。
そこに見えるは多少歪な劣等感か。
その甘美なる芳醇の液体。
店舗のワインセラーの中央で、俺は一人、若き液体を前にして、数千円出すべきか腕を組み組み思案する。いつも飲んでる芳醇液体なら、何本か買える値段であるからだ。普段は安い物しか飲んでない証明でもある。
思案と欲望と金額と-。
天秤にかける分銅の重さは拮抗しつつ、結局は「飲まずに後悔するならば、飲んで後悔するのだ」という結論の分銅に目方は奪われ、レジに差し出すSOUL DRINK。
そこに見えるは多少歪な優越感か。
そこに見えるは多少歪な劣等感か。
その甘美なる悠久の液体。
嬉々なるやハンドル握る掌。
嬉々なるやアクセル踏む足。
嬉々なるやサイドを引く腕。
月極駐車場に深緑の車を停め、逸る心を抑えつつ若き液体の入ったポリ袋を握り締めドアを開け降り立った瞬間-。
不用意に振った腕から、ポリ袋がすっぽ抜けるように宙を舞った。
鈍い音は着面の悲鳴。
深紅に塗れながら飛び散った破片は虚しきプリズナー。
その甘美なる液体はアスファルトを下り、普段認識することさえない側溝に消えていく。
まさかどう考えたって「飲む前に後悔する」って選択肢を持っていなかった俺は、ただ愕然と膝を落とし、深き慟哭の中、深紅のプリズムを見つめるのだった。
輝く軌跡はプリズナー。
輝く軌跡はプリズナー。
その甘美なる生命の液体。
コメント
南無。
はう。
2~3年前までは私も飲んでいましたが
去年は解禁からしばらくたったら半値近くになっているのを見てやめました。
おすすめの赤ワインは あじろん おいしかったです。
ただ 入手しにくいみたいで 私も1本しか買えませんでした。
わ、わ、お久しぶりです。コメントありがとーです。
昔は全く飲めなかったワインなのに、味覚ってほんと変わります。
あじろん ですか。高いですか?
そこそこならば探してみようかしら?
蒼龍葡萄酒と山梨ワイン醸造からでています。
私が飲んだのは蒼龍葡萄酒の「あじろん 初しぼり」
幻のワインと言われているみたいです。
あじろん 検索しました。なるほど、美味そうですね。
取り寄せの送料が結構高いからヤフオクで検索かけたら1件ありました。
「初しぼり」でないのは残念ですが…どうすっかなあ。